2008年1月31日木曜日

繊維の重さ

 絹は吸湿性があるので、周りの雰囲気(湿度や温度)により繊維の水分率が変わり重さが変化します。
 湿度が高い場合には重く、乾燥した状態では軽くなります。
 繊維の重さを比較する場合には、水分率をゼロにした絶乾重量か正量で比較します。

 繊維を105℃の熱風乾燥機で乾燥し絶乾重量を求めます。

 正量は絶乾重量×(1+公定水分率÷100)です。

 絹の公定水分率は12.0%です。
 従って、正量は  絶乾重量×1.12 となります。

 他の繊維の公定水分率は次のとおりです。
 綿         8.5%
 羊毛       15.0%
 麻         12.0%
 レーヨン     11.0%
 ポリエステル   0.4%
 アクリル      2.0%
 ナイロン      4.5%
 ポリプロピレン  0.0%
 ガラス繊維    0.0%

2008年1月30日水曜日

練減率(ねりべりりつ)

 生糸のセリシン量を示す値です。
 絹糸、絹織物を精練するとセリシンが除去され重量が減少します。
 精練することを練り(ねり)ともいいます。 
 生糸を精練して得た絹糸を練糸(ねりいと)ともいいます。

 練減率(%)=(精練前重量 - 精練後重量) ÷ 精練前重量 × 100

 精練方法
 (1)炭酸ソーダ法
   0.5%炭酸ナトリウム   浴比 1:100   温度 85~90℃  
   時間 20分

 (2)石けん法
   0.5%石けん    浴比 1:100   温度 98℃   
   時間 30分 2回

 (3)繭層法
   0.2%石けん  0.05%炭酸ナトリウム   浴比 1:100  
   温度 96~98℃   時間 40分 2回

 (4)織物法
   0.5%石けん  0.2%ケイ酸ナトリウム   浴比 1:100 
   温度 煮沸   時間 60分  2回 

 各方法とも最後にすすぎ(洗浄)が必要です。

   

2008年1月28日月曜日

絹フィブロインのサブユニット構造

 絹フィブロインは1本の長いポリペプチド鎖と考えられてきましたが、そうではなく大小2本のポリペプチド鎖がジスルフィド結合によって結合し、フィブロイン分子を形成しているという説。

 詳細については次の書籍を参照してください。

 「家蚕生化学」 伊藤智男 編著  裳華房 (1984) P132

2008年1月24日木曜日

絹は紫外線を吸収するか?



 シルクフィルム(絹フィブロインフィルム)に紫外線を照射し、透過してきた紫外線の透過率(%)を測定した結果を図1に示しました。
 透過率の低下より、絹が紫外線を吸収することがわかります。
 紫外線の波長で300nm以下の透過率の低下が大きく、240nm以下ではほとんど透過していません。
 紫外線B(UV-B)と紫外線C(UV-C)での透過率の低下が大きく、紫外線A(UV-A)の低下はそれほどでもないことがわかります。
 絹は紫外線BとCの吸収は大きいものの、紫外線Aに関してはそれほどでもないようです。
 今回は家蚕から作ったフィルムの結果ですが、紫外線吸収・遮断機能に関しては、家蚕よりも野蚕の方が優れているともいわれています。

UV-A 波長範囲 400~320nm
UV-B 波長範囲 320~290nm
UV-C 波長範囲 290~200nm

2008年1月7日月曜日

絹のアミノ酸組成

家蚕
 アラニン  32.4%
 グリシン  42.8%

サクサン
 アラニン 50.5%
 グリシン 23.6%

テンサン
 アラニン 49.5%
 グリシン 22.7%

(続 絹糸の構造  発行 信州大学繊維学部)より 

2008年1月3日木曜日

蚕の種類

 蚕というと、一般には家蚕(かさん)を意味します。
 簡単に言うと、白い繭を作る蚕です。

 家蚕に対して野蚕(やさん)があります。
 野蚕には天蚕(てんさん)や柞蚕(さくさん)などがあり、天蚕は黄緑色の繭を、また柞蚕は褐色の繭を作ります。

 天蚕や柞蚕の繭から作った絹繊維は、家蚕の絹繊維とは異なり、臭化リチウムや塩化カルシウムなどの中性塩の水溶液では溶解することができません。
 絹のアミノ酸組成が家蚕の絹とは異なるためと思われます。