2008年3月24日月曜日

シルクスポンジの製造方法  その6

 現在、シルクスポンジの製造に使っている冷蔵庫。
 GR-80Hと同じ温湿度の周期的変化を示す冷蔵庫が今でも存在します。

シルクスポンジの製造方法  その5

 冷凍装置内部の温湿度測定に使用した「温湿度データロガー DL-8829」及びパソコンでのデータ解析画面


 

2008年3月23日日曜日

シルクスポンジの製造方法  その4

 冷凍機の温・湿度の変化を調べることで、空冷式と直冷式の違いは歴然としました。

 空冷式では温度、湿度とも一定ですが、直冷式では周期的な変動を繰り返しています。

 特に、湿度100%付近では空気中の水蒸気が凍り、小さな氷の結晶が無数にでき、絹フィブロイン水溶液に降り注いでいるものと想像できます。(局地的なダイヤモンドダスト現象?)

 小さな氷の結晶が核となり、過冷却状態が壊れ絹フィブロイン水溶液が凍結するものと推定できます。

 
  空冷式冷凍機の温・湿度変化 



  直冷式冷凍冷蔵庫の温・湿度変化(東芝冷蔵庫GR-80H)

2008年3月22日土曜日

シルクスポンジの製造方法  その3

 なぜ、古いタイプの冷蔵庫でシルクスポンジができたのか。
 古いタイプの冷蔵庫と今の冷蔵庫あるいは冷凍装置を比較することでヒントが得られました。

 古いタイプの冷蔵庫
 ①直冷式(霜がつく)
 ②冷凍と冷蔵が一体

 今の冷蔵庫
 ①空冷式(霜がつかない)
 ②冷凍と冷蔵が分かれている

 更に、冷凍時の湿度と温度の経時変化を追跡することでその理由がはっきりしました。

2008年3月21日金曜日

絹フィブロインゲル  自然乾燥中7



更に収縮がすすんでいます。

東芝冷蔵庫 GR-80H


 古く汚い冷蔵庫ですが、私がシルクスポンジを初めて作った時に使った冷蔵庫です。
 東芝冷蔵庫 GR-80H、この冷蔵庫がなければ、私はシルクスポンジに出会わなかったかもしれません。

 長い試行錯誤の末に、シルクスポンジができたのかというと、そうではありません。
 たまたま、絹フィブロイン水溶液を凍結したらどうなるのかと軽い気持ちで試してみました。凍結後、解凍すると、水溶液に戻らずにスポンジ状になっていました。
 この時点では気づいていませんでしたが、偶然が二重三重に重なった末の発見でした。

 ただ、あまりに幸運だったため、別の冷凍装置でシルクスポンジを作ろうと試みると、ことごとく失敗するという泥沼にはまっていきました。

 別の冷凍装置でもシルクスポンジを作れるようになるためには、長い試行錯誤が必要でした。
 
 

 

シルクスポンジの製造方法  その2

最大氷結晶生成温度帯

 冷凍保存において0℃~ー5℃の温度帯は氷の結晶が大きくなる温度帯として知られています。
 食品の保存ではこの温度帯を短時間で通過する急速冷凍により食品の品質が保たれています。
 この温度帯の時間が長くなると、氷の結晶が大きくなることで食品の細胞が内部から破壊され、品質が低下してしまうからです。
 逆にシルクスポンジの製造に関しては、最も強いせん断応力が絹フィブロイン分子に加わる最適の温度帯となります。
 ただし、この温度帯(0℃~ー5℃)では、絹フィブロイン水溶液は過冷却現象のため凍結しません。

 このジレンマを解決したのは、1台の古い冷蔵庫でした。

2008年3月19日水曜日

シルクスポンジの製造方法 その1

 絹フィブロイン水溶液から凍結処理だけで直接シルクスポンジをつくるポイントは2点あります。

 ①最大氷結晶の生成

 ②直冷式冷凍

2008年3月18日火曜日

絹繊維の見分け方  その5

 繊維鑑別混用率試験は次のように定められています。
「繊維製品中に混用されている繊維の混用率を求める」
 つまり、繊維以外のものは対象外であるということです。
 絹に樹脂加工をして、絹と同重量の樹脂が繊維に付いているとしても、混用率表示では絹100%となります。
 
 

2008年3月17日月曜日

絹フィブロインゲル  自然乾燥中6



目に見えた変化はありません。

2008年3月14日金曜日

絹フィブロインゲル  乾燥中5


更に収縮。
着実に乾燥されているようです。

2008年3月13日木曜日

酸化銅アンモニア溶液

酸化銅アンモニア溶液は水酸化銅をアンモニア水に溶解することで作ります。


   水酸化銅


 水酸化銅にアンモニア水を加えて溶解。
 できあがった酸化銅アンモニア溶液。

 酸化銅アンモニア溶液は本来はセルロースを溶解する溶液です。(キュプラの製造に使われます)
 従って、セルロースと絹を酸化銅アンモニア溶液で溶解後、紡糸することで、セルロースと絹を混合した繊維を作ることも出来ます。

2008年3月12日水曜日

絹繊維の見分け方  その4

 溶解法による見分け方を紹介します。
 衣料用繊維で次亜塩素酸ナトリウム溶液に溶けるのは絹と羊毛だけです。
 絹と羊毛のうち、酸化銅アンモニア溶液に溶けるのは絹だけです。

 ある繊維が次亜塩素酸ナトリウム溶液と酸化銅アンモニア溶液の両方に溶けたとすると、その繊維は絹です。
 顕微鏡観察を加えれば更に確かになるでしょう。

 次亜塩素酸ナトリウム溶液は漂白剤としても利用される薬品です。
 絹製品と羊毛製品の漂白には他の漂白剤を使用しましょう。

獣毛(じゅうもう)

 獣毛繊維には次のものがあります。なお、( )内は動物名です。

 カシミヤ(カシミヤ山羊)
 モヘヤ(アンゴラ山羊)
 らくだ・キャメル(らくだ)
 アルパカ(ラマ)
 アンゴラ(アンゴラうさぎ)
 ビキューナ(ビキューナ)

2008年3月11日火曜日

羊毛のスケール


 倍率200倍
 焦点の合っている部分を見ていただくと、スケールが良くわかります。
(写真をクリックすると拡大されます)

絹フィブロインゲル  乾燥中4


 更に収縮。

2008年3月8日土曜日

絹繊維の見分け方  その3

 繊維を燃やして「毛髪の燃える臭い」がしたとすると、その繊維は絹、羊毛、プロミックスの三種類に絞られたことになります。
 プロミックスは特殊な繊維なので、一般には絹か羊毛かということになります。

 絹と羊毛の見分け方としては、顕微鏡で繊維の表面を観察する方法があります。

 繊維表面に鱗のようなスケールがあれば、その繊維は羊毛もしくはカシミヤなどの獣毛と推定されます。 羊毛と獣毛をあわせて「毛」と表示します。
 防縮加工を施された羊毛の場合には、スケールがわかりにくくなっているものもあるようです。

 顕微鏡観察でスケールが認められなかった場合には、絹の可能性が高くなります。
 更に、顕微鏡で繊維断面を観察し、絹の特徴の三角断面が観察できれば、絹で間違いないでしょう。

 特殊なケースとして、黒などに濃色に染められた繊維の場合には、光が透過しないため光学顕微鏡では繊維断面の観察ができない場合があります。
 過酸化水素で繊維を脱色することで、顕微鏡観察が可能になります。
 
 

2008年3月7日金曜日

プラチナボーイ

 蚕には雄と雌があり、繭にも雄の蚕が作ったものと雌の蚕が作ったものがあります。
 雄の繭の方が糸質が良く、関係者の間では雄の繭だけで生糸を作ることが夢だったそうです。
 このたび、「プラチナボーイ」という雄だけの蚕品種が育成され、雄の繭だけを使って生糸が作られ、更にこの生糸を使った絹製品も商品化されているそうです。

 詳しい内容をお知りになりたい方は、繊維学会誌(2007年9月号  発行 社団法人繊維学会)をご覧下さい。
 「プラチナボーイの開発と魅力について」   大沼昭夫 氏

2008年3月6日木曜日

絹繊維の見分け方  その2

 よく紹介されている方法としては、繊維を燃やしてみる(燃焼試験)方法があります。
 絹の場合には「毛髪の燃える臭い」がします。

 ただし、絹以外の繊維でも「毛髪の燃える臭い」のする繊維があります。
 それは羊毛とプロミックスです。

2008年3月5日水曜日

絹フィブロインゲル  乾燥中3


 更に収縮がすすみ、色もわずかに褐色を帯びてきたように見えます。

日本規格協会

 日本規格協会ではJISの規格票だけでなく、JIS試験に必要な物品も販売しています。

 繊維関係では、染色堅ろう度試験用添付白布があります。

 絹(6匁付)    1m  2,100
 絹(14匁付)   1m  3,150円   


 などです。

2008年3月3日月曜日

絹繊維の見分け方  その1

 絹および繊維全般の見分け方は次の日本工業規格で決められています。

 JIS L 1030-1 繊維製品の混用率試験方法-第1部:繊維鑑別
 JIS L 1030-2 繊維製品の混用率試験方法-第2部:繊維混用率

 JIS規格票は(財)日本規格協会から入手できます。