煮繭
玉繭、出殻繭、揚り繭などを綿地の袋に入れ、わら灰の上澄液(灰汁)またはソーダ灰、あるいは亜硫酸ソーダ、結晶炭酸ソーダを溶かした液を煮た和釜の中で煮繭し、セリシンや夾雑物を取り除きます。煮繭は灰汁練りが望ましく、その理由はわら灰に含まれているカリ、カルシウム塩類が繊維に吸着してかさ高性を与え、また草木染にも良い効果を及ぼします。
真綿掛け
(イ) 煮繭の後、水洗した繭を手の指でひらき、手の甲にかけて3~4粒を重ねてから、木枠に掛けます。従って、一枚の真綿は9~12粒の繭からなります。
(ロ) 真綿の質の良否は原料繭の選繭と配合がポイントになります。最近は中国から真綿が輸入されるので、まず良質な真綿は国内産の春繭を使うことが基本条件になります。
(ハ) 真綿は主に上質の玉繭、出殻繭、揚り繭を使っていますが、その配合率は、玉繭70~80%に出殻繭、揚り繭20~30%が適当とされています。特に春玉繭は節があまり生じないので、つむぎ易くきれいな紬糸が得られます。
糸つむぎ
真綿からつむぐ方法には、つくし棒などに真綿を巻きつけて、繊維を手で引き出しながらつむぐ紬糸と、電動手紡機に、真綿から手で繊維を送り出し、手紡機につむいだ糸を巻き取る紬糸の二種類があります。信州紬の紬糸は後者の紬糸が多く、フライヤー式手紡機でつむがれているので、純粋手紬糸に似た、ほとんど撚りのかからない紬糸になっています。また、経の紬糸は緯に比してやや太くつむぎます。
撚糸
生糸または玉糸を必要とする太さに引き揃え、いったん管巻きにして水に漬け、セリシンを柔らかくしてから八丁撚糸機で撚り、これを揚げ返して綛にします。
精練
撚糸済みの綛糸を練袋に入れるか、または綛糸を揃えて棒にかけた状態で、精練釜に漬けて40~50分沸騰させて練ります。精練剤として灰汁、結晶炭酸ソーダなどを用いています。
染色
綛糸を染液で染めます。草木染めと化学染料染めがあります。
図案
各工房でデザインを考案します。
種糸つくり
信州では筬台定規で図案を絣種糸に写し取っています。筬台に図案を置き、その上に白綿糸を両端の筬羽に掛け渡し、下の図案を墨で写し取ります。
印墨付け
長く伸ばした経糸および緯糸の束に、種糸を同じく伸ばしてあてがい、種糸の印通りに箆で墨付けをします。
手括り
糸束の印墨付けした箇所を綿糸で固く括り、染色の際に染液が浸透しないようにします。
整経
経糸を所用の長さの本数に揃えて千切に巻きとります。
製織
手織機(高機)の綜絖と筬に経糸を通し、上下に開口して手投げ杼により緯糸を入れて筬で打ち込みます。緯に絣糸を織り込む場合は、地糸と絣糸の二丁杼使いになる場合が多くなります。
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