2009年7月26日日曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その12

3方法の比較


絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その11

脱塩C法
 絹フィブロイン溶解液50mlをセルロースチューブに移し、そのチューブを1000ml純水中に浸漬して、時々透析外液を攪拌しながら拡散透析を3時間30分行いました。
 次に、透析外液を新しい純水1000mlに入れ替えた後、拡散透析を行い、その際の透析外液を電気透析装置に導入して循環させながら電気透析を行いました。

2009年7月23日木曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その10

脱塩B法
 絹フィブロイン溶解液50mlをセルロースチューブに移し、そのチューブを1000ml純水中に浸漬して拡散透析を行い、その際の透析外液を電気透析装置に導入して循環させながら電気透析を行いました。

2009年7月22日水曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その9

脱塩A法
 絹フィブロイン溶解液50mlをセルロースチューブに移し、そのチューブを2500ml純水中に浸漬して拡散透析を行い、その際の透析外液を電気透析装置に導入して循環させながら電気透析を行いました。

2009年7月21日火曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その8

 脱塩はA~Cの3通りの方法で行いました。
 電気透析装置はマイクロ・アシライザーS1、脱塩カートリッジはAC-220-20を使用しました。





  







 


2009年7月20日月曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その7

絹フィブロイン溶解液の調製
 臭化リチウムあるいは塩化カルシウムで絹繊維を溶解して調製した絹フィブロイン溶解液の場合には、電気透析においてハロゲン化合物である臭素あるいは塩素の生成があります。電気透析においてハロゲン化合物を生成させないようにするため、硝酸カルシウムで溶解した絹フィブロイン溶解液を使用しました。
 絹繊維10gを5.5mol/L硝酸カルシウム水溶液50ml中に浸漬氏し溶解温度90℃で溶解し、絹フィブロイン溶解液を調製しました。

2009年7月19日日曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その6

 拡散透析において、半透膜としてはセルロースチューブを使用します。
 セルロースチューブに絹フィブロイン溶解液を入れ、そのセルロースチューブを純水の入っている容器へ入れます。チューブの内側と外側の塩濃度差を使って脱塩を行います。
時間経過とともにチューブの内側の塩は外側へ溶出していくので、外側の水が入れ替わらないと内側と外側の濃度差は減少し、最終的には平衡に達してしまいます。チューブ外側の水を入れ替えるため上部から水をあふれさせながら新たな純水を常時供給する必要があります。
脱塩が進むとチューブ内側の塩濃度は低下するので、内側と外側の濃度差は小さくなり、その結果、脱塩速度は遅くなり、長時間にわたり純水を供給し続ける必要があります。従って、徹底脱塩する場合には、大量の純水を消費することになります。
拡散透析と電気透析を組み合わせて方法では、チューブ外側の水をあふれさせながら純水を供給する代わりに、チューブ外側の水(透析外液)を電気透析装置に導入して、電気透析で脱塩後、その脱塩した水を供給します。従って、理論上は追加の純水を必要としません。(拡散+電気透析)

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その5

拡散透析と電気透析を組み合わせてみました。



2009年7月18日土曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その4

 絹フィブロイン溶解液を電気透析する場合には水はあまり必要としません。ただし、脱塩の機構の関係から、絹フィブロイン溶解液を循環させる必要があり、脱塩がある程度進んだ絹フィブロイン溶解液には凝固しやすい性質があるため、更に脱塩をしようとすると循環中に絹フィブロイン溶解液が凝固してしまい、徹底脱塩ができないという問題があります。

2009年7月17日金曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その3

 絹フィブロイン溶解液の脱塩方法としては、拡散透析、電気透析、限外ろ過、ゲルろ過などがあります。
 高粘度の絹フィブロイン溶解液を徹底脱塩する方法としては拡散透析が適していました。しかし、拡散透析には大量の水を必要とするという問題があります。

2009年7月16日木曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その2

  絹フィブロイン水溶液は絹繊維を臭化リチウム、塩化カルシウム、あるいは硝酸カルシウムなどの中性塩の濃厚溶液で溶解後、この溶解液(絹フィブロイン溶解液)から溶解剤として使用した中性塩を脱塩することでつくることができます。

2009年7月15日水曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その1

 絹繊維は衣料分野での利用が中心ですが、最近では医療、産業資材、化粧品、食品などの非繊維分野での利用も増えてきています。
 それらの利用形態は繊維状ではなく、絹繊維をその組成成分である絹フィブロインというタンパク質とみなして、絹繊維を溶解して調製した水溶液、粉末、フィルムなどの形態での利用が中心です。

2009年7月13日月曜日

冷却装置の槽内温湿度変化   その3

空冷式冷却装置

 温度、湿度とも一定です。


2009年7月12日日曜日

冷却装置の槽内温湿度変化   その2

直冷式冷蔵・冷凍一体型冷蔵庫

 温度、湿度ともに周期的に変化しています。


2009年7月11日土曜日

冷却装置の槽内温湿度変化   その1

直冷式冷凍装置の槽内温湿度変化


 温度はほぼ一定ですが湿度は周期的に変化しています。


2009年7月5日日曜日

シルクスポンジと最大氷結晶生成帯 その5

 冷凍室と冷蔵室が分離されていない直冷式冷凍冷蔵庫を使わないとシルクスポンジは造れないのでしょうか?
 
 他の形式の冷凍装置でもシルクスポンジを造ることは可能です。

 絹フィブロイン水溶液が過冷却現象を生じるより更に低い温度、例えば-20℃に冷却して水溶液を凍結します。次に冷却温度を-5℃に上げ、その状態で1日程度凍結保存を続けます。-20℃で保存したものは解凍すると水溶液にもどりますが、-20℃で凍結後-5℃で保存したものは絹フィブロインが不溶化してシルクスポンジが得られます。
 -20℃で凍結後、-5℃で保存することで、微細な氷結晶が大きな氷結晶に変化し、その変化の際に生じた応力の作用で絹フィブロインが不溶化し、スポンジ構造が生成されたと推定されます。

シルクスポンジと最大氷結晶生成帯 その4

 冷凍室と冷蔵室が分離されていない直冷式冷凍冷蔵庫の冷凍室での温度と湿度を計測して次のことがわかりました。温度が-3℃~-8℃の間で周期的に変化するとともに、湿度も52%~98%の間で周期的に変化していました。湿度の変動幅が大きいことが他の冷凍装置には見られない特徴でした。また、周期的な変化は直冷タイプの特徴と推定されます。
 従って、空気中の水蒸気が凍結して氷の核が生成しやすいことがわかります。絹フィブロイン水溶液はこのような氷の核が多数存在する環境に置かれるので、過冷却状態が解除され凍結するものと推定されます。

シルクスポンジと最大氷結晶生成帯 その3

 シルクスポンジの製造に適している冷凍装置は冷凍室と冷蔵室が分離されていない直冷式冷凍冷蔵庫です。-5℃でも絹フィブロイン水溶液が凍結し、シルクスポンジを生成することができます。
 冷凍室と冷蔵室が分離されていない直冷式冷凍冷蔵庫、分かり易く言えば冷凍室に霜のつきやすい旧タイプの冷蔵庫です。

シルクスポンジと最大氷結晶生成帯 その2

 最大氷結晶生成帯で生じる細胞組織を破壊するような氷結力は、水溶液中の絹フィブロインを不溶化する剪断応力として有効に作用することが予想されます。むしろ好都合です。経験的にも-5℃前後の凍結温度でシルクスポンジがうまく生成しています。
 しかし、一般的な冷凍装置(空冷式冷凍装置)で-5℃に絹フィブロイン水溶液を冷却しても水溶液は凍結しません(過冷却現象)。

2009年7月4日土曜日

シルクスポンジと最大氷結晶生成帯 その1

 食品の凍結保存においては、0℃~-5℃までのゾーンを最大氷結晶生成帯と呼び、この温度帯を短時間で通過することが、食品に与えるダメージを最小にする冷凍保存方法であることが知られています。

① 緩慢な冷凍で最大氷結晶生成帯にとどまる時間が長かった場合
 大きな氷結晶が生成するため、細胞間に生じた氷結晶が食品の組織を破壊します。解凍するとドリップが多くなっています。

② 急速冷凍で最大氷結晶生成帯にとどまる時間が短かった場合
 多数の微細な氷結晶が生成されるため食品の組織は破壊されません。解凍してもドリップは少量です。