2008年12月28日日曜日

天蚕のこと  その1

天蚕のあらまし
 天蚕は、わが国原産の野蚕で、本邦各地の山野で、ナラ、クヌギ、カシワ、カシ等の葉を食物として生息しており、ヤマコ、ヤママイとも呼ばれています。
 天蚕は一化性といって、1年に1回の発生で、完全変態をする昆虫です。
 卵は、長径2.8mm、短径2.6mm、厚さ1.8mmくらいの扁平球状で、1gは130粒前後で、黒褐色の膠着物におおわれていますが、膠着物をとりさりますと卵殻は乳白色です。卵態で越年して、普通は四月中旬~五月上旬に孵化を開始します。幼虫の体色は、一齢から五齢まで緑色ですが、頭部は、一齢ないし二齢は褐色、三齢は稍緑色で体色とともにたいへん美しい。
 食物は、クヌギ葉がもっともよいといわれ、ナラ葉、カシワ葉等がこれにつぎます。飼育地は、高燥の場所が望ましいといわれています。
 孵化後、幼虫は50~60日間に四眠五齢の発育過程をたどり、孵化時に0.006gくらいだった体重が五齢盛蚕では、17gくらいとなり、体長8.0cm、体幅1.5cmくらいになります。そして飼葉を巻き営繭して、その中で蛹に変わります。繭は美しい緑色長円形で、繭長4.8cm、繭幅2.5cm、繭重7.0gくらい、繭糸長600~700m、繭1000粒から250~300gの生糸が得られる。
 蛹は、黒褐色で体長3.8cm、体幅1.8cmくらいです。
 発蛾(羽化)は、発育経過の早いものから順次、八月上旬ないし十月上旬に行われ、交尾、産卵(1蛾の産卵数130~200粒)してへい死します。 蛾(成虫)は、大形で翅開張15~18cmで、翅色は、橙黄色に淡黒色の横線を有し、前後両翅に各々一個の透明な眼状斑紋があります。

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