2009年8月2日日曜日

絹フィブロイン溶解液の脱塩方法(改良) その14

 脱塩Aの場合の電圧(V)、電流(A)、電導度(mS)の経時変化を図1に示しました。
 脱塩時間0分から300分まではセルロースチューブの内と外で濃度が平衡に達していないため、電導度は低下だけでなく上昇も認められます。400分以後、電導度の一定の低下が認められ脱塩が進んでいるのがわかります。電気透析装置の循環液量が1分当たり20mlのため、2500mlの外液を脱塩するには長時間を必要とします。また、1600分以降は電導度の低下が止まり幾分上昇しました。
 脱塩停止後、脱塩カートリッジを装置からはずし確認したところ、膜に固形物の析出が認められました。この固形物はカルシウム化合物と推定され、カルシウム化合物の析出により脱塩機能が低下したと推定されました(図2)。
 図1中の400分から1400分の電導度曲線の傾きから推定すると、1時間あたりの電導度の低下は0.18mSでした。従って、電導度最高値18mSを0mSまで脱塩するには100時間以上必要です。
 脱塩時間を短縮するには電気透析装置の処理能力を上げる必要があります。実験で使用した電気透析装置の処理能力は1時間当たり20mlですが、25倍の500ml/hの処理能力の装置を利用すれば5時間への短縮も可能と推定されます。



                図1






            
              図2

0 件のコメント: